こんなことW杯を見れば一目瞭然だったわけでフェネルバチェのフロントは何を期待していたのでしょうか?!
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/eusoccer/headlines/20060922-00000023-kyodo_sp-spo.html
同じ監督・コーチ業を目指す者として批判はしたくないけれどあまりにも選手に責任を預け過ぎている気がする…。
守備のオーガナイズがまったく無かった彼が勝ち抜けるほど欧州のリーグ戦は甘くないと思うのです!!!
以下W杯で見たブラジル戦のコラムをもう一度取り上げています。
かなり長文ですから覚悟して読んでくださいませ、笑。
そしてご意見があれば建設的(感情的ではなく)によろしくお願いします。
それでははじまり~はじまり~♪
≪まだまだ厚い世界の壁≫
わずかな希望を胸にスタジアムへ向かった…。
そして待望の先取点!
まだセレソンがエンジンをかけていないと理解していながらも日本の勝利を期待した。
しかしその理解が敗北への確信と変化するまでにそう時間はかからなかった、そう後半開始直後の彼らはまさに鉄壁と言っても大袈裟ではないまでに日本へのプレッシャーを激しくかけ、そして日本に唯一の決定機を与えないボールポゼッションで圧倒した。
まさになす術がないとはこのことだった…。
【ボールを失わないブラジル】
前半よく善戦した日本代表。
その原因は川口の好セーブ、そしてブラジルの守備陣、いやロナウドを除く10人の守備を開始する意識がスロースタートだったという2つの要因が挙げられる。
思い切りの良いシュートを放った玉田の先制点もきっと柳沢や高原であればシュートまで持ち込めていなかったに違いない。
ジーコの大抜擢に応えた彼だがディアゴナルランからのシュートは見事だった。
ただそれ以降まったく仕事をさせてもらえなかったことは今後の彼の課題となったであろう、いや彼だけではなく日本代表の選手全員・スタッフ、そして私たちサポーターにとっても課題を考えさせてくれる試合だったと言えるでしょう。
さて、一瞬のスキを突いた形でリードした日本代表。
しかし一方でピンチもいくつかあったのは事実。
ブラジルの丁寧なボールポゼッションからの攻撃はいずれも個人がしっかりキープし、決してあわてず、急がず、日本の守備陣の穴を常にうかがっていました。
そんな攻撃を再三繰り返された日本は徐々に押し込まれる機会が増えていき、ほとんどのシュートが枠を捕らえる場面を許してしまっていたのです。
もちろん日本代表も開始から集中力120%でブラジルに立ち向かっていっていたからこそ、体を張った守備とカバーリングで無失点に抑えることに成功していたのですが…。
それにしてもその120%の集中力とボールを奪うために激しくかけた日本のプレッシングに対して囲まれれば簡単にバスをさばき、1対1の距離が甘いと見るや否や仕掛けるその適切な個々の判断はチーム全体としてもボールを失わない意識が高いブラジルそのものでした。
逆に日本代表は前半こそ相手陣内深くまで攻め込む機会があったもの、ブラジルの守備へのエンジンがかかり始めてからは追い詰められた形でボールを失う機会が増えていきました。
無理な体勢からのシュート、味方がサポートするために上がりかけるその瞬間、甘いボールキープの仕方etc数え上げればキリがありませんでした。
スコアこそ1-0とリードしていたもの心理的には日本が追い詰められはじめていただけに「2-0にする意識を持てなかった」と言っても過言ではないでしょう…。
ボールを奪い返すために労力を使い、折角奪ったボールも簡単に失っていくケースの繰り返し。
日本代表は最低条件である2点目を奪う前に徐々に集中力・体力を浪費していったのです。
【なぜ簡単に失うのか?!】
理由が3つあります。
1.パスを受ける前の予測
ゴールを奪った玉田にしても、巻にしても『パスを受けるための動き出し』が遅く見えました…。
これは彼らの動き出しが遅いのではなく、ブラジルのDFたちの予測が抜群に速いと私は考えます。
彼らのボールが出る前からのアプローチ、ボールを受ける選手に対するボディコンタクト、パス回しの流れをいち早く察知したインターセプトは本当に芸術でした。
後半に入ってからの彼らの10人(繰り返し言いますがロナウドは守備をしていない)のブロック形成は早く、整ってからのプレッシング開始、その連係作業は見ているものからしてもスキがまったくない状況というのが理解できました。
DFと日本のFWの駆け引きはほぼ90%ブラジルに軍配が上がっていました。
2.パスの受け手不足
欧州で実績のある、世界にも誇れる中村俊輔と中田英寿。
とくに中村俊輔はセルティックを優勝へ導き、今年の9月からはCL出場権を獲得しています。
そんな彼らはさぞもどかしい気持ちだったのではないでしょうか?!
いくら良いタイミング・スペースを見つけ出しても他の選手が走りこめない(意図がない?)、狙えない、共通イメージを持てないではいくら素晴らしいパッサーがいても活きません。
ブラジル戦だけではなく今大会を通して日本に感じたことは中盤が同じタイプの選手が多く、FWか加地しか前線に飛び出していませんでした。
そういった意味で中盤に松井大輔や石川直宏みたいなタイプが必要だったのではないでしょうか?!
足元足元へつなぐサッカーもブラジルのプレッシングの標的に合う格好の餌食となっていました。
ゆえにボールを待って受ける形が多くなったので奪われる場面も多くなったのです。
3.幼い頃からの環境
安全が常に約束されている日本社会。
そしてモノが豊かですぐに手に入る日本社会。
一方子供の頃から貧しい環境で育ち、常に虎視眈々とチャンスを窺うように育った南米の選手達。
そしてモノを手に入れるためには自らで勝ち取る意識を自然と身につけた彼ら。
『幼い頃から育った環境でそうなった』という一言ですべてを語るのは安易かもしれませんが、どうしても筆者はこういった環境が人(選手)を育てていると考えるのです。
日本ではモノを失ってもすぐに買い与えてもらえます。
今日、大人は子供たちに「我慢」を教えることができなくなりつつあります(よく泣いてねだる子供に最後には根負けしている大人の方々を見ます)、もしかしたらサッカーを通して指導者たちが我慢強く教えていかなければいけません…。
奪ったボールは丁寧、かつ危険な地域へ運ぶ意識が個人としてもチームとしても植えつけていくことはサッカーの基本です。
【三都主の適正ポジション】
宮本が出場停止だったことは仕方がありません。
しかし加地にしても三都主にしても4バックタイプのサイドバックではありません。
いやもしどちらか1枚を置くならもう1枚は守備がしっかりできる選手を置きたかったところです。(昔で言えばジュビロの服部みたいなタイプ)
前半最後の失点の場面。
加地はクロスを簡単に上げさせ過ぎ、もっと距離を詰めるべきです。
三都主もボールウォッチャーになって折り返しヘッドに対して距離を誤ってしまいました。
3点目も加地の浅いポジションから生まれました(もちろん中盤のロナウジーニョに対する守備も甘かった)。
これらは3-5-2システムを選手選考の時点でほぼ決めていたことが要因として挙げられます。
彼らの特徴としては、ウイングバックは出来ても4バックのポジション取りに関してどうしても同じ感覚が残っているためセンターバックの2トップに対する守備のカバーリングを意識できないまま高い位置を保ってしまうものです。
筆者が考えるに三都主の適正ポジションは3-5-2のウイングバック、4-4-2の左ハーフ、あるいは4-2-3-1の3の左ハーフ、さらに攻撃的に行くには4-3-3の左FWと思うのです。
【一貫性がなかったジーコ】
3-5-2から4-4-2に変形の決断をしたわが代表監督。
時間帯・試合の流れ・選手の特徴を考えた場合、当然あり得るシステム変更ですからこれについては同じ監督という職に持つ以上文句はありません。
しかし問題は試合の流れやポジションを意識した適切なカードが投入されていなかったことです。
とくに選手選考から考えた場合に遠藤はもっと有効的に使える選手だと筆者は考えるのです。
それがなんと1試合も出ずに彼らのW杯は終わりました。
もちろん23人もいるわけですから1試合も出ずに終わる選手なんて山ほどいるのですが、彼だけです、フィールドプレイヤーで1試合も出ていないのは!!!
ここにジーコの一貫性がないことが証明できます。
1試合目のオーストラリア戦では小野を起用。
ならばなぜ2試合目に先発で出場したのは小笠原なのでしょうか?!
キープは出来ても怖さがない小笠原と一瞬でチャンスを演出できる小野なら後者の方がより相手にとって危険だったでしょう。
守備面に関しても彼は日本陣内で2回も軽いディフェンスを見せ、ロナウジーニョやジュニーニョに中央へ切り込まれています。
私はドイツにいるので日本代表の情報はわからなかったのですが、福西はもしかしたら怪我だったのでしょうか?!
あれほどまでに信頼し続けてきた選手を簡単に見切ることは自分の今までしてきたオーガナイズを否定していると同じことです。
オーストラリア戦の2失点目は福西の責任かもしれませんが、それまで1人で獅子奮迅の活躍を見せていたのは彼です。
思い出してください、ベスト8を決めたドイツのキャプテン『バラック』を完封したのは彼です!
疲労・システムの弊害で彼の活躍が見られなかったのは非常に残念でした…。
さらに『中田浩二』の起用です!!!
中田英寿を前目に上げたかった気持ちは理解できます。
でもどうして福西でもなく遠藤でもなく彼なのでしょうか?!
説明が聞きたいところです。
【監督の責任だけではありません!】
サッカーは最後までどちらに転ぶかわからないスポーツです。
ですからオーストラリア戦がもし仮に1-0で勝利を獲得できていたらシチュエーションはまったく違うモノとなっていました。
そして可能性が大いにあったからこそ筆者はあそこで「稲本か遠藤を投入しておけば…」と何度も振り返ってしまうのです。
とくに2回戦では8年前に敗れたクロアチアからは勝ち点1を奪ったわけですから。
惜しむらくは4年間の守備のオーガナイズと戦術のトレーニングをしっかり行なっていれば結果は変わっていたかもしれません…。
この勝ち点1を獲得した事実は、欧州に飛び出して活躍する選手の増加が相手に対する恐怖心を感じなくなったことも一理あります。
中村俊輔や中田英寿なんて激しいイタリアで経験を積んだゆえにボディコンタクトにしっかり耐えながらキープできていました。(ただブラジル人はさらに腰がブレずに強シュートを放っていましたが)
高原もドイツ人相手に戦っていたからこそ親善試合でドイツ相手に2ゴールを奪いました(まぁ本番で決めなければ一緒ですが)。
以上のことから世界との壁は縮まってきていることは確かです。
このブラジル戦のすべてがジーコ監督の責任ではないのも確かです。
『常に日頃から選手が世界を視野に入れた意識を持って戦っているか?!』
『常に指導者は世界基準を考えてトレーニング・試合に臨んでいるか?!』
※プロレベルの話(育成年代のプロは含まれます)ですからサッカーの楽しさを伝える普及論とはまた別の話です。
以上のことを真剣に考えていかないとベスト10の仲間入りはいつまで経っても絵に描いた餅で終わってしまいます。
【この経験を次世代へ】
ジーコへのリスペクトか?!
本気で立ち向かってきたセレソン。
決勝トーナメントに向けてロナウジーニョ・カカも本当なら温存したかったはず。
しかし彼らは先発を果たし、逆転するまでは本気モードで私たちを叩きに来ていました。
さらにそういったメンバーを落としてきたから「チャンスがあるかも?!」と囁かれていましたが、筆者が思うには決勝トーナメントに向けて出場アピールをプレイで見せようとしていたフィジカルがフレッシュなサブ組だったからこそこんな点差まで開いたと思います。
つまり誰が出ても強いブラジルが本気モードで戦いに来たこの経験は必ず次世代へ活かしていかなければいけません!!!
◇ ◇ ◇
というわけで今回は少し長くなりました。
それだけこの試合の両リームのレベルの差に圧倒されたということです。
認めるのは悔しいけれど、彼らのキック・判断・予測の質は予想をはるかに超えるものでした。
『2015年にベスト10入り』『2050年に優勝する』目標、とてつもなく厳しいけれど、不可能ではありません。
次の監督がどうこうではなく、日本サッカー協会を中心に次なる世代への育成はすでに始まっているのです。
それではまた。
Ciao!